『ゆず坊』奇妙な冒険
ゆず坊
「夜の西都の町も賑やかだね。西都の街の中って、無料の駐車場がたくさんあって、車で観光する時はとっても便利だって畑でスタッフさんがそういえば言ってたな。
それにしても飲食店もたくさんあるし、充実しているなあ。」
オアシスさん
「いい匂いがするなって思ったらゆず坊じゃないか! おーい! 今日団体さんが入っていて忙しいんだけど、急なオーダーで柚子が足りないんだ。手を貸してよ~。」
ゆず坊
「オアシスさん僕、坊やだけどバーに行ってもいいかな?」
オアシスさん
「こんな時に坊やキャラ出さないでよ。20歳超えてるでしょ? 早く早く!」
ゆず坊
「分かったよ~。」
オアシスさん
「今、ゆずビール100杯のオーダーがあって柚子が足りないの。ゆず坊くらいの果汁があればすごく助かる。お礼にゆずビール飲ませてあげるからさ。」
ゆず坊
「そもそも“ゆずビール”って何?」
オアシスさん
「ゆず坊が育った地元の柚子がたっぷり入ったリキュールとビールそして氷で作る新感覚のビアカクテルが“ゆずビール”なんだよ。柚子の香りとサッパリとした飲み口で、ビールの苦手な方もサクサク飲めると評判だよ。西都市の飲食店で「ゆずビール」ののぼりがあるお店で提供されているんだ。」
ゆず坊
「たくさん歩いていい感じに疲れたけど、オアシスさん困ってるし。やるしかないか!」
ギュッーーーーーーーーーーーーーーーー!!
ゆず坊
「皮もエキスも余す所なく思いっきり絞ってくれたね。嬉しい!」
オアシスさん
「おかげで100人のオーダーに対応できたよ。頼りになるねゆず坊!
はいっ、お礼のゆずビール。飲んでね。」
ゆず坊
「うん、これは“ありだと思う ゆずビール”」
(いったんCMです)
ゆず坊
「さすがに疲れたし、お腹を満たしたいよな~。ここに入ってみようかな。」
杉乃井さん
「いらっしゃーい。」
ゆず坊
「柚子1名入れますか?」
杉乃井さん
「ご新規柚子1名様入ります。」
ゆず坊
「杉乃井さんといえば美味しい郷土料理がいただけるお店。ここはやっぱり、地鶏を食べておかないとな。」
杉乃井さん
「地鶏炭火焼きです。薬味の柚子こしょうはいかがいたしますか?」
ゆず坊
「薬味に柚子こしょうなんですね! 僕は柚子なので柚子こしょうは、自分でとれるので結構です。」
ゆず坊
「キャベツと地鶏にこの柚子こしょうをつけていっただきます。地鶏に柚子こしょうの組み合わせは鉄板だな。美味しい!」
(ん? 今までお腹が空いたこと無いのだけど、僕、お腹が空いている。しかも人間の食べ物を欲している自分がいる。なんだろうこの気持ち。いいな人間は、こんなに美味しいものを毎日いただけるなんて……。)
柚子の神様
「おーい ゆず坊。精霊のお主に肉体を授けたのは、意味がある。人のために自分を犠牲にして、尽くしてくれると思ったからだ。思ったとおり、我々のPRのために貢献してくれたお主の願いを叶えてやろう。」
ゆず坊
「柚子の神様、僕は人間になりたいです。それだけです。」
柚子の神様
「よし、その願い叶えてやろう。その代わり、柚子だった頃の記憶だけは無くなる。それだけは覚悟しておけ。」
ゆず坊
「ありがとうございます柚子の神様……。」
時は2017年10月、西都市役所総合政策課で働く、この上なく柚子が好きな青年がいる。
何を隠そうこの青年が、かつてのゆず坊である。
柚子の記憶はないが、今こうして西都市のPRのために奮闘しているのだった。
Food Bar OaSiS(オアシス)
住所/西都市御舟町2-84-2
電話/0983-35-3835
居酒屋 杉乃井
住所/西都市妻町3−12
電話/0983-43-4518
第1部 ゆず坊 ―生まれ育った銀鏡の地で―
第2部 ゆず坊 ―柚子の美味しさを知る―
第3部 ゆず坊 ー神様からの贈りものー